日本一の動画制作ディレクターが語る絶対にチェックすべき企画

日本一の動画制作ディレクターが語る絶対にチェックすべき企画

MVJコラム

こんにちは。株式会社モーションビジュアルジャパンです。いよいよ、今年も最後の月になりました。今年は、ようやくコロナも落ち着いてきて、来年こそは海外旅行に行ってみたいとか、これまで自粛自粛で出来なかったことを予定されている方も多いのではないでしょうか。

さて、本日は日本でも有数のテレビ現場で10年以上のキャリア、現在も最前線を走り続けるディレクター柵木志が語る、「このテレビ企画は参考にすべき!」という番組をいくつか取り上げます。
過去のブログでも繰り返しお伝えしていますが、動画制作に限らず広報を行うのであれば、まずは企画ありき。どんな撮影テクニックを磨いても、高いカメラを購入しても、企画の構成がグダグダであれば、それまでのプロセスも全てが水泡に帰するわけです。

というわけで、じゃあ実際にどう企画を考えたらいいか。企画を検討する上で参考になる番組などがあれば、ぜひ知りたくありませんか? 実際に企画書を見ることは叶わないでしょうが、柵木がぜひ企画書を見てみたい!と思った番組は何か。最前線で今も走り続けるテレビマンならではの視点をお届けしたいと思います。

日本一に輝いたディレクターが気になる企画。

徹子の部屋

日本人でこの番組を観たことがない、あるいは存在を知らないという人は誰もいないであろう国民的番組である、徹子の部屋。Wikipediaでも以下のように記載されています。

『日本史上最初のテレビ女優としては唯一、21世紀に至るまでテレビ番組のレギュラーを継続し続けている。同一司会者によるトーク番組の最多放送世界記録保持者として、記録更新中である。幅広い層が観るバラエティ番組に数多く出演しており、大御所同士だけでなく若手芸人とのトークも好評であるため、21世紀においても国民的人気を維持している』

何十年もの司会者を、休まず続けているというのは本当に凄いことですよね。それでいて若年層にもちゃんと受け止められている辺りに、黒柳徹子さんの凄みを感じます。
では、この番組は一体どのようにして行われているのでしょうか?

まずは誰をゲストに呼びたいか、ADからプロデューサーまでが平等に候補を出し合うのだそうです。そして、決定したゲストを、ディレクターが事前に会いに行き、どのような話が聞けそうかをリサーチします。次に、毎週金曜が黒柳さんとの打ち合わせ。ゲストの担当ディレクターが1時間くらいずつかけて、人となりや話題について、黒柳さんにリサーチ内容を元にプレゼンをして、撮影を待ちます。と、文章にすれば、たったこれだけで収まってしまう話ですが、「徹子の部屋」は平日毎日やっている番組。考えただけでも恐ろしいですが、実際には、一週間分を2日間で撮ります。1日平均3人撮らねばならないわけです。

このように緻密なリサーチと、誰でもアイデアを形にできるというチャンスがある点が何十年経った今でも人気を保持し続けている要因のひとつなのかもしれません。

森田一義アワー 笑っていいとも!

2014年3月31日までやっていた、ご存知、国民的ご長寿番組「笑っていいとも!」です。「明日も観てくれるかなー?」の掛け声も有名でしたよね。
元々タモリさんは、冷静な観察眼から繰り出される密室芸人(※)で大学生や若者から指示されていたいわばアングラ的な存在でしたので、

お昼のお茶の間番組としては不適切なのではないかという声も多かったようです。
(※密室芸とは、外では披露することができないちょっとキワドイ芸のこと。例えば、天皇陛下のモノマネとか、ブルマ姿でサザンオールスターズと一緒にトランペットを吹くといった、今のテレビでは絶対に放映できないことをしていました。お昼の茶の間番組の司会として反対意見が出るのも至極当然ですね)

もうすでに番組が終了してから、7年半も経過しているのですが、いまだに「令和3年の今なら誰がレギュラーになるのか」などがYouTube動画に挙げられているほど、まさに「伝説のバラエティ」といっていいでしょう。

コンテンツも後半はマンネリ、失速したなどと言われることもありましたが、それでもこれだけの長寿番組を支えた番組のコンテンツ力は参考になるものでしょう。テレフォンショッキングをはじめ、視聴者参加型のコーナーが長く続いていたことも大きな特徴の一つです。

なぜこの二つが参考になるのか。

国民的なご長寿番組を二つ並べたところで、なぜこの二つの番組を参考にするとよいのでしょうか。

まずは、どちらの番組も同時性、つまりライブ感がある番組であり、尚且つ長寿の、しかも毎日放映されていた番組であったことです。順番に説明していきます。

人は同時性のあるものに対してどうやら興味を惹かれる習性があるようで、実は歴代テレビの視聴率トップランキングも、ほとんどがライブ感のある番組なのです。

しかしながら、ライブ感のある企画を考えると言われれば「ライブ感を大事にすればいいのか。成り行きに任せてやっていくといいんだな」とはなりません。「笑っていいとも」でもしばしば放送事故が発生していましたが、それを冷静に、かつウィットの効いた言葉で華麗に笑いに変えてしまうタモリさんの司会でカバーされていました。それを私達が簡単にまねできるものではない。

「徹子の部屋」も、「話を切って、いい所だけをつなげるやり方はゲストに失礼」という、黒柳さんご自身の考えから、その方針を維持し続けていると言います。当然ゲストの方との間でトラブルも起こるのが常ですが、そのあたりは黒柳さんも、重々承知しており、打ち合わせでのメモを活用し、週末にそのメモを切り張りしながら、構成を考えて対応している。構成作家のような役割も担っておられるのです。(番組中に出ているメモは全てご自身で作成)むしろ、私たちが比較的参考にしやすいのは黒柳さんのほうでしょう。

また番組が長寿で続いていたのには、ある程度どちらの番組にもしっかり基盤となる番組構成があったことも大きいと思います。毎回ゼロベースで、毎週企画を考えたのでは作業的にも間に合わない可能性も出てきますので。

いかがでしたでしょうか? 今回は柵木がもし観れるなら観てみたい番組の企画書、というテーマでお届けしました。

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