BMPCC6Kデモ機を触ってみた感想など

BMPCC6Kデモ機を触ってみた感想など

MVJコラム

Blackmagicdesignから登場した噂のBMPCC6Kを触る機会が得られましたので、こちらにレビューを掲載しておきたいと思います。まず簡単にカメラの説明をしておきます。

まず名称ですが、正式には「Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K」(ブラックマジック・ポケット・シネマ・カメラ 6K)です。これだと名前が長いのでBMPCC6Kと言っています。仕様ですが、「スーパー35センサー、13ストップのダイナミックレンジおよび25,600までのデュアルネイティブISOをサポートしているため、HDRイメージが得られ、低照明条件で驚異的な性能を発揮します。外部コントロールで、重要な機能にすばやくアクセスでき、5インチの大型タッチスクリーンでショットのフレーミング、的確なフォーカス、カメラ設定の変更が簡単に行えます。Blackmagic RAWまたはProRes収録に対応した内蔵SD/UHS-IIおよびCFast 2.0レコーダー、外付けディスクへの収録用USB-C拡張ポート、EFレンズマウント、内蔵マイク、XLR入力、フルサイズHDMI、3D LUTサポート、Bluetoothなどを搭載。」となっています。

まず電源を入れて感じたのは、操作系のわかりやすさです。タッチスクリーンを触っていれば大体のことは理解できました。例えば、絞りやISOなどの表示にタッチすれば該当の設定が表示されます。これは非常にありがたいですね。少し気になったのは、メディアの出し入れをする蓋が開けにくいこと。どこに引っ掛けて開けてよいのか悩みます。これはすぐに改善できそうな気がするのですが、どうなんでしょうか。

焦点距離50mmのレンズは、スーパー35mm のカメラだと実質75mm程の画角になるというのはひとつ注意点です。ざっくり1.5倍になってしまいます。ですのでワイド系のレンズでも魚眼クラスでようやくワイドっぽいイメージが撮影できるような感じになります。ここは注意が必要です。なので24-70mmを持っていても、36-105mmになってしまうということですね。これ結構影響あります。

撮影には5インチタッチスクリーンで基本的には操作しました。EFレンズがオートフォーカスに対応しているようなことが書かれていますが、これは恐らく録画中にのみ反応するのではないかと思います。スタビライザーも同様で、REC中にだけスタビライザーが効く音がしていました。ちょっと違和感がありますね。

メディアはSDカードのみ使用しました。用意したのは2種類。Transcend SDXCカード 128GB MLC NAND 採用 UHS-I Class10 (最大転送速度95MB/s)と SanDisk Extreme PRO SDXC UHS-I カード 128GBです。

Sandiscのほうは現在は同じカードでもバージョンアップして読み込み速度が向上しているようです。で、この2種類のカード、実はTranscendは全く駄目でした。Blackmagic RAW 6K Constant Bitrate 12:1で収録したのですが、すぐに止まってしまいました。12:1で使えないとなるともうどうしようもありません。一方、Sandiscは問題なくスイスイ録画できました。フィールドテスト中もフリーズすることは一度もありませんでした。BMD界隈ではSandiscの信頼度が高くなりそうです。

撮影の際、他のビデオカメラと違い「ISO」「絞り」「シャッタースピード」はよく触ります。特にISOと絞りは頻繁。そこで欲しくなるのがNDフィルター。私は可変NDフィルターをパカっとはめたり外したりできるガジェットを手に入れたので、これがかなり重宝いたしました。

晴天の中で絞り開放気味に撮影したいと思ったときにNDフィルターなしには到底無理。そんなときにつけ外しが容易なこのアイテムがあればかなり手際よく撮影ができます。NDフィルターも可変であれば、「ISO」「絞り」「シャッタースピード」はそのままにしてNDだけ触って調整することでも対応できてしまいます。時間がある場合は、もう少し設定を細かく追っていきたいところですが、なかなかそんな時間はない場合が多いと思いますので、可変NDフィルターは使い勝手が良い気がします。いっそISOを100以下も作ってもらうか、NDフィルター内蔵にしてくれれば解決なのでしょうが、この辺りはビデオカメラというよりはスチルカメラやシネマカメラ寄りということなのかもしれません。

「ISO」「絞り」「シャッタースピード」にNDフィルター、更には画角決めとフォーカスを毎回決めて撮影するのはドキュメンタリーではなかなかキツイというのが正直な感想です。もう少しオートでさっと撮影できる機能が実装できればいいのかもしれません。まぁ、とはいうもののドラマや企業VPのような撮影ではかなりちからを発揮できるのではないでしょうか。6Kの威力がどれほどのものかは今回撮影した動画を貼っておきますので確認していただければと思います。驚きなのは、6Kでも割とスムーズに編集ができてしまうということかもしれません。Blackmagic RAWの技術が如何にすごいかを物語っています。このコーデックを他のメーカーも採用し始めたらまた世界が広がるかもしれませんね。

編集にはPremiere Pro 2020を使用しています。普段使いがPremiereということと、Blackmagic RAWに対応したので試しに編集をしてみました。ファイルの扱い自体はそれほど難しいことはありませんし、WindowsマシンでCPU i7-6850K、RAM64G、GeForce GTX1080を使用していますが、レイヤーを重ねなければリアルタイム再生は可能です。ただし、レイヤーを重ねたりすると同期がズレたりします。音に関してはレイヤーを重ねなくてもズレる場合があり注意が必要です。あとは、クリップの設定に新しくタブが増えていて(これを見落としがち!)そこでRAWの設定を触れます。ISO、色関連がかなり触れますのでこれは有り難いです。現場で撮影する際にフォーカスに狂いがなく「やや暗め」な状態でとりあえず撮影しておけば、あとはポスプロでなんとかなりそうな勢いです。

編集をしていて気がついたのですが、素材を100%で見た場合細部が少しぼやけているような画に見えます。これはもしかしたら今回の撮影では絞りを開放気味にしてましたのでその影響かもしれません。全景の広い風景のショットではF値をもっと絞り込んで撮影してみれば良かったですね。もう少しいろいろなパターンで撮影をしてみてデータを取ってみても良かったかなと思いました。今回は最終吐き出しがHD(1920x1080)Rec.709/H264ですので、4K/HDRなども是非試してみたいところです。

それから少々細かなことですが、カメラのバッテリーをCanonの充電器で充電しようとしたところ、エラーが出て充電できませんでした。LP-E6というからにはCanon製品でも使用できるような気がしてしまいますが、これはNGです。ただ、CanonバッテリーをBMPCCで使用することはできます。CanonからBMPCCはOKなのですが、逆は使えないのです。なんだか変ですよね。

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